東京湾ショウサイフグ・ヒガンフグ船釣り完全ガイド|初心者でも挑戦可能!安全で家族に喜ばれる高級フグ
アジ・キスなどで船釣りに慣れてきたら次のターゲットは、釣って楽しいと食べてうれしいフグ釣りがおすすめです。
「フグ」と聞くと「毒の処理が難しそうで怖い…」と思うかもしれませんが、心配ありません。東京湾でフグ船を出す船宿では、調理師免許を持った人が船宿にいて毒のある個所を取り除いてくれるので、初心者でも安心して挑戦できます。
頭や内臓など取り除いた状態で渡されるので、家に帰ってやるのは3枚におろすくらい、ということで、料理は他の魚よりも楽なくらいです。
この記事では、東京湾で長い時期釣れるショウサイフグとヒガンフグに焦点を当て、湾フグ釣りの特徴である「浅場での軽い仕掛けと専用竿」を含め、湾フグ釣りに必要な道具・仕掛け・釣り方のコツまでご紹介します。

なぜ東京湾のフグ釣りが初心者にもおすすめなのか

フグ釣りは、繊細なアタリ(魚信)を取る楽しさがあり、釣れたときの満足度が非常に高いのが特徴です。またその味の良さから家族に喜んでもらえます。
年中釣れ、竿もレンタルできるのも気軽にいけてうれしいところです。
| 項目 | 評価 | 詳細 |
| 初心者のおすすめ度 | ★★★★ 挑戦する価値大 | 浅場で軽い仕掛けを使うため、体への負担は少なめ。専用竿のレンタルもあり気軽にチャレンジできます |
| おいしさ | ★★★★★ 家族が喜ぶ逸品 | フグ刺しや唐揚げ・鍋など、家族の食卓を特別な1日に変える特別な食材です |
| 釣れる季節 | ほぼ通年 | ショウサイフグは初夏から秋、ヒガンフグは秋から春が特に狙い目。同じ竿・仕掛けで年中楽しめます |
湾フグ釣りの特徴
特徴①フグのアタリを見抜くゲーム
湾フグ釣りの最大の魅力は、その繊細さにあります。竿先に伝わる「フワッとしたたるみや引き」「わずかな重みの変化」を頼りにアワセる(フッキング)技術が求められます。
フグがエサを突つく感触は、「ブルブル」といった派手なものではありません。
この微かな変化を察知し、見事にフグを引っ掛けた(カットウ釣り)ときの興奮は、他の釣りでは得られません。
特徴②年中楽しめるフグローテーション
東京湾のフグ釣りは、ショウサイフグとヒガンフグの2種がメインです。(春の一時期トラフグも釣れますが、仕掛け・深さが異なります)
- ショウサイフグ: 主に初夏から秋にかけて。クセがなく食べやすく唐揚げや白子ポン酢が絶品です
- ヒガンフグ: 秋から春にかけて。特に冬場のヒガンフグは脂が乗り、「トラフグに匹敵する」と評されるほどの濃厚な旨味があります
参考:湾フグ専用船が出ているかをチェック
フグを食べるためには料理免許を持つ専門家の処理が義務付けられていることと、専用竿でないと釣るのが難しいので、船宿を選ぶときは下記をチェックします。
- 「フグ調理師免許保有」の記載があるか。(フグの専用船を出しているか)
- レンタルする場合、専用竿(湾フグ竿)のレンタルがあるか。
特徴③釣果が家族団らんの主役になる
釣れたての新鮮なショウサイフグは、身が締まっていてコリコリとした食感です。
ヒガンフグは固すぎるくらいなので、キッチンペーパー・ラップで巻いて冷蔵庫で1週間ほど熟成させると、刺身でおいしく食べられます。
- ショウサイフグ: 唐揚げやテッサ(刺身)にすると、その身の弾力と旨味に感動します
- ヒガンフグ: てっちり(鍋)やテッサ(刺身)で、フグ特有の濃厚な旨味を堪能できます
釣り方:仕掛け・エサから釣り方のコツ

東京湾フグ釣りの基本は、海底にいるフグをエサで誘い、「カットウ針」で引っ掛けるという独特の「カットウ釣り」というスタイルです。
また、湾フグ釣りは、水深10〜30メートル程度の浅いエリア(浅場)で行われることが多く、使用するオモリも6〜10号と軽いものです。
この「浅場と軽さ」が、竿先のわずかな変化を捉える繊細な釣りを可能にしています。
この動画を見れば、仕掛けから餌つけ、釣り方のコツまで分かりますが、この先で詳しくご紹介します。
①仕掛け:独特なカットウ仕掛け

出典:シマノHP
湾フグでは、エサ針の下に、カエシのない「カットウ針」を付け、餌で集まったフグをこのカットウ針で引っ掛ける、という「カットウ釣り」がメインです。
(季節によっては胴付き針のみ、もしくは胴付き針の下にカットウ仕掛けを付けることもあります)
※カットウが禁止されているエリアもあり、そこではカットウ針を外しエサ針のみで釣ります。船長の指示に従いましょう。
フグは歯が鋭く仕掛けを噛み切られることがあります。底を探るので根掛かりもあり、予備の仕掛けは多めに持っていくことをおすすめします。(私は4セットくらい持参します)
餌をつける針は「ちらし針(3本針)」と「1本針」があります。
船宿で売っているのは「ちらし針」のことが多いですが、ちらし針で釣れないときに、1本針に変えたらすぐ釣れたということもあるので、両方持っていくのがベターです。
かっとう仕掛け(チラシ針)
ちらし針の場合エサを付ける針が3本で、比較的小さいものとなります。
フグの口に入るくらいの大きさのため、チラシ針にフグがかかることもあります。
かっとう仕掛け(1本針)
1本針はエサを付ける針が大きなものになっています。この場合のエサ針はフグを呼び寄せるためだけに使われます。
(釣り上げるのはエサ針のしたにあるカットウ針)
オモリ
かっとう仕掛けの上には、丸型かナツメ型の中通しオモリを付けます。
東京湾の湾フグの場合、軽めの6〜10号のことが多いです。
潮が早いときは15〜20号でないと着底を取るのが難しくなるので、船宿のHPか電話で確認しましょう。
②エサ:釣り餌と付け方
餌はエビ(アルゼンチン赤海老)を使うことが多いです。
船宿で買うことができ、足りなくなったら船の上でも買うことができます。
まず頭と尻尾をハサミで切り落とします。
1本針の場合は、尻尾から2関節までは殻を残して、それから先(頭の方)は全て殻を剥ぎます。尻尾から針を入れ、第一関節あたりの殻で背中に針を抜き、反転させてもう一度針を通します。エビが一直線になればできあがり。
チラシ針の場合、エビの殻を全てむきます。
むき身を4等分になるようにハサミで切って、1個ずつ針に縫いがけにしていきます。
③釣り方:「ゼロテンション」と「即合わせ」「空合わせ」と「ゆっくり着底」
- ゼロテンション: 仕掛けを海底に付けた状態で糸を張りすぎず緩めすぎず、竿先がわずかに曲がるか曲がらないかの状態を保ちます。この状態で、フグがエサを突いた際の「フワッ」とした変化を逃さずに察知します。
- 即合わせ: 違和感を感じた瞬間に、素早く竿を強く立ててアワセます。
- 空合わせ:あたりがなくても5〜10秒に1回竿を大きくあげて空合わせをしてみます。ぐっと重みが乗ったら、あたりに気付かなかったフグがカットウ針にかかった証拠。そのまま巻き上げます
- ゆっくり着底:空合わせでフグがかからなければ、ゆーっくり5秒くらいかけて海底まで仕掛けを下げていきます。
フグはこれを見ていて、着底と同時に餌をついばむことが多いので「ゆっくり下げること」「着底の瞬間の竿先の動きに集中すること」が大事です
④道具:この釣りに適した竿とリール
湾フグ釣りの「ゼロテンション」と「繊細なアタリ」を実現するには、専用竿がベストです。
- 竿: 東京湾特有の10号という軽い仕掛けでアタリを取るためには、穂先が非常に柔らかく高感度な「湾フグ専用竿」がベストです。
- リール: 頻繁に空合わせをしたり、底を取り直したりするため、操作性の良い小型軽量のベイトリールが適しています。
道具:湾フグに合ったおすすめアイテム
前項で説明した「高感度」と「操作性の良さ」を満たすアイテムを紹介します。
向いている竿:「湾フグ竿」の必要性
「湾フグ竿」は、その穂先(トップ)が非常にしなやかで、穂先の動きで視覚的(眼感度)にも、手元に伝わる振動で感覚的(手感度)にも、アタリを明確に伝達するよう設計されています。
この「繊細な感度」こそが釣果を上げる最大のカギです。
レンタルタックルでも専用竿があるか確認しましょう。
初心者向け湾フグ竿
ダイワ湾フグX
ダイワの入門者向け「X(エックス)」シリーズの、湾フグ版です。
Xシリーズに共通した、リーズナブルな価格と、クセのない扱いやすさが特徴です
ちなみに、私もこの竿でヒガンフグで竿頭を取ることができました。
シマノ ベイゲーム 湾フグ
初心者から上級者まで対象としたシマノのベイゲーム湾フグ。
軽量なカーボン素材で、ブランクスの外側と内側にカーボンテープをX状に巻きつけることでネジレやつぶれを克服する独自の強化構造「スパイラルX」を採用。
穂先はグラス素材ならではの柔軟性による目感度に優れたグラスソリッドトップを搭載し小さなアタリを感知できます。
代用できる竿
もし代用するなら、極端に竿先が柔らかいタイラバ用の竿が使えるかもしれませんが、アタリを見極めるのが非常に難しいので、
どうせなら船宿で湾フグ竿をレンタルすることをお勧めします。
向いているリール
手返しが早く、仕掛けを落とし込むスピードが調整しやすい小型のベイトリールが最適です。PEラインは0.8号〜1号を100〜150メートル巻いておけば十分です。(糸の太さは船宿により指定があるのでHPや電話で確認します)
フグを引っ掛けるカットウ針には返しがないため、なるべく早く上げるに越したことはないですが、ハイギヤまでは必要なく、普通のギヤで大丈夫。
というわけでリールはベーシックなもので十分です
ダイワ PR100
安いときには4千円を切る価格で売っているダイワの「PR100」。
コスト削減のため本体が金属ではなくプラスチックですが、剛性が不足する感は全くなし。
190gと軽く、形状もコンパクトなため、1日使っても疲れません。
ノーマルタイプはギヤ比6.3と、スピードとパワーのバランスが取れたギヤ比です。
最大ドラグ力は5kg
ソルト対応で海でもガンガン使えるのがいいところです。私も使っています。
ダイワ フネX(エックス)
ダイワはリールも初心者向けは「X(エックス)」の名前がつきます。
「フネ」というカッコ悪い名前はどうにかならなかったのか、と思いますが、使っているときに周りに名前は見えないので大丈夫です(笑)
こちらは金属製の本体ながら重さはPR100と同じ190g。ギヤ比は6.8、最大ドラグ力は5kg。
私はこれも使ってます。
さばき方:安全安心!高級魚の「無毒化」と鮮度維持
無毒化:すべて船宿にお任せで安心
釣れたフグは、仲乗りさんや船宿の方が毒のある部位をすべて取り除き、無毒化(そのまま調理できる状態に)してくれます。
釣れたらエラを切ってバケツの中を泳がせて血抜き。しばらくしたらクーラーボックスに作っておいた冷海水につけてしっかり冷やします。
最後に中乗りさんか船宿の方に渡すと下処理をしてもらえます。
鮮度維持と持ち帰った後の下ごしらえ
無毒化されたフグは、頭や皮・内臓を取った「棒身」の状態で渡されます。
ショウサイフグが白子を持っていたら、それも付けてくれます。
念のためクーラーボックスで冷やした状態で持って帰ります。
持って帰った後の下ごしらえは3枚おろしにするだけ。
(刺身にする場合は薄皮を剥ぎます。唐揚げなど火を通す料理はそのままでOK)
普通の魚だと必要な下処理(頭を落とす、内臓を出す、ウロコを取る、腹骨をすく、血合い骨を抜く)が一切不要。
釣りに疲れて帰った後はかなりラクです。
魚料理に使う包丁は、3枚に下ろすとき用に出刃包丁、刺身にするとき用に刺身包丁と、2本の包丁を買っておくと、ほとんどの魚で活用できます。
出刃包丁 関孫六
刃物の大手メーカー貝印が、刀鍛冶「関孫六」とタッグを組んで作った出刃包丁。
リーズナブルな価格ながら、切れ味が鋭く、普通の包丁より重さがあるので、骨を切って頭を落としたり、皮を切って三枚おろしにするときに、重さと切れ味がサポートしてくれます。
15センチサイズを1本買っておけば、アジのような小さな魚から真鯛のような大きい魚まで快適にさばけます。
刺身包丁 関孫六
貝印製の関孫六ブランドの刺身包丁。これもリーズナブルながら、切れ味が鋭く、フグの薄造りなどがラクに作れます。
20センチくらいの長さがあると、大体の魚で1回引くだけで切り身にできるため、使い勝手がいいサイズです。
レシピ:家族が喜ぶ最終目的
フグは釣る楽しさだけでなく、「食」の楽しさも最上級です。
美味しい食べ方:「唐揚げ」「てっさ」で家族も満足
- ショウサイフグ(夏〜秋): プリプリとした食感を活かした唐揚げや薄造り(てっさ)が我が家では親にも子にも人気です。白子ポン酢+日本酒という大人の楽しみもあります
- ヒガンフグ(冬): 身が最も締まる冬場は、家族みんなで温まるてっちり(フグ鍋)が最高です
| 料理名 | 概要 | 詳細記事 |
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| 大人の味わい、白子ポン酢 | ショウサイフグが白子を持っていたらぜひ試していただきたい。日本酒に最高に合います | 【詳細記事へ】白子ポン酢:クリーミーで濃厚な旬の宝石(夏限定) |

絶品フグ料理に欠かせない、ちょっと高いけどおいしいポン酢はこちらです
馬路村ぽん酢 ゆずの村
高知県馬路村のゆずを使ったポン酢。
私は比較的最近使い始めたんですが、昭和61年から発売しているロングセラー商品だそうです。
当初は鍋料理を想定していたものの、まろやかなかつおだしと自慢のゆずの絶妙なバランスから、和風ドレッシングとして利用したり、ギョウザ、冷やっこ、お刺身、焼肉のタレなど、買った人の中で使い方が広がっていったそうです。
まとめ:フグ釣りは気軽にチャレンジできる
湾フグ釣りは、一見難しそうに見えますが、湾フグ専用竿を選び、空合わせと竿先への集中をマスターすれば、初心者でも結果を出せる釣りです。
安全は船宿が確保してくれます。やるのは最高の食材を釣り上げ持ち帰ることだけ。
この記事を参考に、次の週末はぜひ釣って楽しい・食べてもうれしいフグ釣りに挑戦してみてください。



